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ソニーAI、現実世界の人工知能とロボットにおける画期的研究を発表

Written by Admin | Apr 22, 2026 2:59:59 PM

スポーツ競技の一流選手に初めて勝利した自律システムAce

国際科学誌Natureに論文掲載

 

ソニーAIは本日、ロボットと人工知能(AI)領域の飛躍的進歩としてAceの研究成果が国際科学誌Natureに掲載されたことをお知らせします。Aceは一流およびプロレベルの卓球選手と現実世界において対戦できる世界初の自律システムです。

この成果を概説した研究論文「一流卓球選手に勝る自律型ロボット」は、本日発行された国際科学誌Nature(第 8110号)に掲載され、表紙を飾りました。

本研究はAIとロボット領域の研究において長年重要な到達点とされてきた「ロボットが現実世界のスポーツ競技で一流の

プレイヤーと肩を並べるプレイ」を初めて実現した事例です。

 

仮想世界から現実世界への飛躍

過去数十年間、AIシステムはチェスから囲碁、複雑なビデオゲームまで、デジタル領域で超人的なパフォーマンスを実証してきました。しかし、現実世界、特に認識‧計画‧制御を千分の一秒レベルで行うことが求められるフィジカルな分野へのAIの応用は、この領域において最も重要な課題の1つでした。

Aceは、ソニー独自の先進的なセンサー技術、強化学習、精密なハードウェアを組み合わせたシステムです。卓球台との衝突を避けるといった動作が制限される環境下で、人間の反応速度の限界に迫るような高速かつ高精度なインタラクションが求められる対戦型スポーツにおいて、一流選手レベルのプレイを実現します。Aceの研究開発は、ソニーAIが手掛け、仮想空間における高速レースの中で超人的な動きを可能にしたAIエージェント「グランツーリスモ‧ソフィー」という革新的な研究をベースにしており、これを現実世界の環境へと拡大したものです。本研究では卓球での対戦にとどまらず、動的な環境下で高速かつ高精度な動作能力を有する人間と対戦する際、ロボットがどのように認識‧計画‧行動し得るのかについての知見を深めることも目的としています。

本研究の意義はスポーツの枠に収まりません。高度なリアルタイムセンシングと制御を必要とする課題を解決した本研究は、動的な物理的環境における安全かつ信頼性の高い動作が可能なAIシステムの基礎を築くものです。その応用範囲は、安全性が極めて重要な環境から、人間の能力の限界付近でのインタラクションが結果を左右する、リアルタイム性のある

インタラクティブな領域にまで及びます。

「本研究は、自律型ロボットが物理的空間において人間の反応速度や意思決定に匹敵、あるいはそれを凌駕し、実際に競技スポーツで勝利し得ることを実証しています」とソニーAI チューリッヒオフィスのディレクターでAceのプロジェクトリードを務めるピーター‧ドゥワーは述べます。「卓球はスピードとパワーを駆使しながら、コンマ何秒単位の判断を何度も繰り返しながら対戦する非常に複雑な競技です。Aceでの研究成果は、フィジカルAIエージェントがリアルタイムかつインタラクティブなタスクを遂行できる可能性を示すものであり、高速かつ高精度な人とのインタラクションが求められる場面において、ロボットの活用領域を広げる大きな一歩です。」

 

人間とロボットとのインタラクションの限界を広げる

卓球は、瞬時の判断力、正確な身体動作、そして予測不能な対戦相手に対して適応し続ける能力が求められるため、

ロボットにとっては、非常に高難度で複雑な現実世界における挑戦の1つです。ボールは高速かつ回転しながら複雑な軌道を描きます。これらの要素は卓球競技において極めて重要ですが、過去の研究の多くは公式試合と同等の環境を前提としておらず、特に回転については十分に対応していませんでした。これらの要求に応えるため、Aceは新たに3つの要素を取り入れて設計されています。

 

  • ソニーセミコンダクタソリューションズ(SSS)のイメージセンサー『IMX273』を搭載した9台のカメラにより高速認識システムを構築し、3次元空間におけるボールの正確な位置を把握。さらに、SSSのイベントベースビジョンセンサー(EVS)『IMX636』を搭載したカメラとパン‧チルトミラーおよび焦点可変望遠レンズを用いた3機の視線制御システムを組み合わせることで、ボールの回転の向きと速度(角速度)をリアルタイムで測定。
  • 事前にプログラムされたモデルに依存しない「モデルフリー強化学習」に基づく迅速な適応および意思決定を可能にする新しい制御システム
  • 俊敏な物理的インタラクションを実現するための高速かつ高精度な制御が可能な最先端のロボットハードウェア

 

人間の反応速度の限界に迫るパフォーマンスを実証

Nature誌で発表された研究成果は、国際卓球連盟(ITTF)のルールに基づいて、Aceと一流卓球選手5人‧プロ卓球選手2人との試合で評価されました。Aceは一流選手に対して53勝という結果を残し、残る2戦でも高い競争力を見せました。       この他にも、評価を通じて注目すべき研究成果が数多く確認されています。

 

  • Aceは様々なスピンのボールを打ち返しただけではなく、最大450 rad/s(ラジアン毎秒)の回転数においても          リターン率75%超を安定して達成しました。これは、スピンへの対応能力の高さを示すもので、競技用卓球ロボットでこれまでに報告されていた値をはるかに上回るものです。
  • Aceは一流選手に対して、サーブでの直接得点(エース)を16回決めた一方、一流選手がエースを決めたのは全部で8回にとどまりました。
  • さらに、Aceの低遅延認識‧制御システムにより、ネットに当たって跳ね返るボールなど予測しにくいショットにも素早く対応しました。この挙動はシミュレーションでの再現が難しく、発生頻度が低い状況においても、我々の手法が高い汎化性を持つことを示しています。

 

これらの研究成果は、インタラクティブかつリアルタイム性が求められるタスクにおいて一流選手を凌駕するという        フィジカルAIエージェントの可能性を初めて示したものと言えます。これまでにも卓球ロボットは研究開発されてきましたが、その多くは協調的なラリーのみを前提としたもので、対戦でアマチュアレベルを超える性能を示したものはありませんでした。

 

論文投稿後も続く進歩

Nature誌に論文投稿後、研究チームは追加の競技試合を実施しました。202512月には、新たに4名の卓球選手(プロ選手2人、一流選手2人)と対戦し、Aceは一流選手2人にいずれも勝利し、プロ選手2人に対しては11敗という結果になりました。また。20263月には、新たにプロ選手3名と対戦し、Ace3名全員に対して少なくとも1勝を挙げました。以前の評価と比較すると、Aceはより高速なショット、台の端を狙ったより攻撃的なコース取り、そして、よりテンポの速いラリーを見せ、対戦下での継続的な性能の向上が確認されました。

「この飛躍的進歩は卓球の枠にとどまりません」とソニーAIチーフサイエンティストのピーター‧ストーンは述べます。「これはAI研究における重大な節目であり、正確さとスピードが求められる複雑かつ急速に変化する現実世界において、         AIシステムが認識し、推論し、効果的に行動できることを初めて示しました。AIがそうした状況下で人間の専門家に比肩する動作ができるようになれば、これまでは実現不可能だった現実世界での全く新しい応用も夢ではなくなります」。

Ace研究プロジェクトおよびその技術の詳細は以下からご覧いただけます:

https://ace.ai.sony 

Nature Portfolio