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革新的なAI「Gran Turismo Sophy™(グランツーリスモ・ソフィー™)」を発表

Sony AI

February 10, 2022

ソニーAI初となる、革新的なAI「Gran Turismo Sophy(グランツーリスモ・ソフィー、以下GTソフィー)」が英国の総合科学誌「Nature」(2月10日号)の表紙に掲載され、同時にこのプロジェクトの発表ができることを大変うれしく思います。

GTソフィーは、PlayStation®4のドライビングシミュレーター『グランツーリスモSPORT』を学習した革新的なレーシングAIエージェントです。GTソフィーはトレーニングを通じ、世界最高峰のドライバーを凌駕するレーススキルを獲得しました。

このエキサイティングなプロジェクトについて、ソニーグループ株式会社 代表執行役 会長 兼 社長 CEOの吉田憲一郎からのメッセージがありますので、こちらをご覧ください。

今回の成果は、2020年4月の会社設立以来、ソニーAIが取り組んできた課題の一つです。これまでの2年間、私たちのチームは、「グランツーリスモ」シリーズを開発・制作するポリフォニー・デジタル(PDI)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のクラウド・ゲーミングのチームと緊密に協力し、GTソフィーを開発してきました。GTソフィーは、大規模な学習のためにSIEのクラウドゲーミングプラットフォームを活用し、新開発した深層強化学習技術を通じて、非常に高いレベルでレーシング技術をマスターしました。

「グランツーリスモ」はゲームであることに加え、リアルなドライビングシミュレーターでもあります。 PDIは長年の経験に基づき、きわめてリアルなレース体験を創り上げ、それをプレイステーション®で再現しています。 グランツーリスモでは、レーシングカーやコースをシミュレーション環境で忠実にモデル化し、臨場感あふれるドライビング体験を実現するために映像や音、そして最も重要となる物理ダイナミクスをきわめてリアルに再現しています。グランツーリスモにおけるこのリアリズムこそが、このAI研究を大きなチャレンジにしています。

Gran Turismo Sophy がAIにおけるユニークな挑戦である理由
まず重要なポイントは、レースにおいてドライバーは、車両運動性能の限界点での操縦を求められるということです。レースというのは本質的に、車両を制御性能の限界ギリギリ、或いは限界をわずかに超えたところで走行させる競争です。ブレーキをかけるタイミングの決定、最適な走行ラインの判断、速度や操縦性を最大化するための路面グリップの感知は、それ自体が非常に興味深い機械学習における課題ですが、レースの際は自分がコース上に一人ではないことも忘れてはいけません。他のドライバーの挙動によって、自分の車両のダイナミクスが変わってくるからです。前走車のスリップストリームに入ると空気抵抗が減少するため、通常のトップスピードを超えた速度を出すことができますが、同時にダウンフォースが減少するため、グリップが低下して制動距離が大幅に伸びてしまうことにもなりかねません。

こうした非常にダイナミックな制御課題に加え、戦術的な課題もあります。レーサーは、追い越そうとするときの相手の反応を考慮して、追い抜くための最適なラインを見つける必要があります。この結果、レースでは抜くふりをしたり、ブロックしたり、あるいはブレーキタイミングや加速タイミングの限界ギリギリでの駆け引きなど、対戦相手との間に複雑なやり取りが行われます。

そして、最後に最も重要なのは、すべてのドライバーが守らなければならないレースの細かいルールです。例えば、レースのコースラインのどこまでなら外を走っても良いのか、衝突が起きてしまった際にどちらが悪いのか。レースにおける重要な局面においてはレース審査員(スチュワード)がドライバーに対してタイム・ペナルティを課すこともあります。しかしこうしたルールがすべての状況を明示的に規定できるわけではなく、最終的にはケースバイケースの裁定に委ねられることになります。AIにとってこのような曖昧に見える判断の理解と最適化は非常に難しい領域となります。また、レーシングにはフェア・プレイという概念もあります。レースは魅力的で楽しいものでなくてはなりません。レースに勝つためにわざと衝突を引き起こすようなことは決してしてはいけませんが、衝突を怖がって消極的になるのではなく、勝利するために互いにアグレッシブに運転することも良いレースには欠かせない要素です。フェアで楽しいレースを実現するためにこのバランスを保つことが、AIにとってのチャレンジとなります。

こうしたことから分かるように、GTソフィーは、チェスや将棋、囲碁、あるいは、リアルタイムのマルチプレイヤー戦略ビデオゲーム向けのAlphaStarやOpenAI FiveのようなこれまでのAIエージェントとは異なります。チェス、将棋、囲碁はターン制の完全情報ボードゲームなので、これらのAIは離散的なゲーム世界での戦略に重点を置いており、現実世界の物理現象には関知しません。AlphaStarやOpenAI Fiveにおいても、その焦点は戦略的な側面に絞られています。技術的には、これらのAIもゲーム内の物理事象を扱っていると言うことはできますが、それでもこれらは現実世界の連続的な物理現象を取り扱うようなAIではありません。それに対し、グランツーリスモは現実世界の物理現象を正確に再現するリアル・ドライビング・シミュレーターです。レースでは戦術、戦略、マナーが重要であり、しかもそれらすべてを車両の物理的な制御限界領域できちんと正しく行う必要があるのです。

革新的AIであり、 新たなゲームやエンターテインメント体験を提供するためのAI
ソニーAIにとって、GTソフィーは、AIにおける科学的な挑戦というだけではありません。我々のミッションである「人類の想像力と創造性を解き放つAIの創出」を実現するための重要な一歩なのです。プロジェクト立ち上げ当初から私たちは、グランツーリスモのトップドライバーと競争するだけでなく、トップドライバーにわくわくするようなレース体験を提供できるAIの実現を目指し、クリエイター、ここではグランツーリスモシリーズを手掛けるPDIと提携してきました。GTソフィーでまさに、この目標を達成するための大きな一歩を踏み出すことができました。GTソフィーの開発では、定期的にトップドライバーたちと交流し、幾度も対戦を繰り返しました。最も記憶に残るのは、FIAグランツーリスモ チャンピオンシップ2020 ワールドファイナリストであるエミリー・ジョーンズさんが、GTソフィーに触発されて、これまでに見たことのない新しいレーシングラインを自分で試してみたことについて語っていたタイムトライアルのレースです。

優れたチームと未来に向けて
GTソフィーは、国や地域を超えた協働とチームワークにより成し得た、とてもエキサイティングなプロジェクトです。

日本で行われたレースの模様を観戦する世界中のソニーAIチーム

私は、GTソフィーの研究開発に取り組み、この大きな成果を生み出したチームを誇りに思っています。ソニーAI、PDI、SIEというユニークなコラボレーションにより、ここにGTソフィーを発表することができました。今回のコラボレーションは、まさにソニー独自のものであり、AIを通じてゲームクリエイターやゲームプレーヤーに感動と刺激を与えられることの証明です。GTソフィーは、まだ最初の一歩にすぎません。今後、ソニーAIとPDIは、「GTソフィー」をどのように「グランツーリスモ」シリーズに取り込むか検討していきます。

更なる詳細情報は、GTソフィー特設ウェブサイト、またはネイチャー誌に掲載された論文をご覧ください。また、プロジェクトの全容を収めた動画「The Making of Gran Turismo Sophy」も是非ご覧ください。

ソニーAIでは、他にもガストロノミー、イメージング&センシング、AI倫理の各フラッグシッププロジェクトを推進中です。ソニーAIからの次のニュースをぜひお楽しみに!

Link to the PDI Blog
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